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2024年03月06日

フランスのSTI試験の最終解析結果は淋病ワクチンへの期待を打ち砕く
Full analysis of French STI study dashes hopes for gonorrhoea vaccine

写真
Professor Jean-Michel Molina at CROI 2024. Photo by Liz Highleyman.

1年前、DoxyVAC試験の中間結果は、doxyPEPを淋病に対するワクチン候補と組み合わせることで、同性愛および両性愛男性において、最も重要な3つの細菌性STIの症例数を大幅に減少させることが可能であるという期待を抱かせた。

しかし、パリのHôpital St LouisのJean-Michel Molina教授がCROI 2024で発表したこの試験の最終解析結果では、doxyPEP投与とワクチン接種の両方を受けた人で淋病に対する有効性が低下し、淋病に感染したdoxyPEPの服用者ではドキシサイクリンへの耐性が上昇していたことが分かった。このことは、淋病に対するこれらの予防策の有用性を制限しているように思われる。

最終解析の準備中に、研究者らは、中間結果と比較して、淋病感染の一部が省略されているなど、いくつかの相違を確認した。さらに、最終解析には545名(502名ではなく)が組み入れられて、追跡調査データは中間解析の12ヵ月ではなく、最長で21ヵ月であった。

試験対象集団は、主に同性愛男性で構成され、大部分がフランス国籍で、平均年齢40歳であった。参加者は、すでにHIV PrEPを服用中である必要があり、PrEPの平均服用期間は約3年であった。試験登録前1年間のSTIの発生率は高く、68%が淋病、49%がクラミジア、21%が梅毒を経験していた。

クラミジアと梅毒に対するdoxyPEPの有効性は、最終解析でもほとんど変化しなかった。クラミジアの年間発生率は、doxyPEP非服用群で42%、服用群では6%であった。これは、有効性が86%であったことを示しているが、中間解析では89%であった。梅毒に対する有効性は、中間解析でも最終解析でも同じ79%であった。つまり、doxyPEPは起こる可能性のあった梅毒感染の5件中4件を防止し、クラミジア感染では10件中約9件を防止したことになる。

中間解析では、淋病の年間発生率はzdoxyPEP非服用群が41%であったのに対し、doxyPEP服用群は20.5%であり、これは有効性51%に等しかった。しかし、その後の淋病感染によって差が生じた。最終解析では、淋病の発生率はdoxyPEP非服用群で68%、doxyPEP服用群で45.5%で、有効性は33%であった。

淋病ワクチン候補の有効性も、最終解析では中間解析よりかなり低く、33%から22%に低下していた。

研究者らは、ワクチンの有効性を判定する基準として淋病感染を選択したとMolina氏は述べた。このワクチンが淋病の重症度を低下させるのに有効性が高いことは確かである。もし試験結果が症候性の感染であったなら、結果はこれより肯定的であった可能性がある。

「わずかな効果をもたらす可能性は除外できないが、臨床的な価値は非常に限られていると思われる」とMolina教授は述べた。より有効性の高いワクチンが必要であり、別のワクチン候補の試験がすでに始まっている。

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